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漫画・本

【集英社・少女まんがアーカイブ】柊あおい / 銀色のハーモニー 作者インタビュー&裏話

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銀色のハーモニー(1)

柊あおい / 銀色のハーモニー 作者インタビュー&裏話です。

 

柊あおい『銀色のハーモニー』 

 集英社文庫<コミック版>全4巻

 

中学2年生の琴子は少し内気でおっとりした性格。幼い頃にピアノをやめてしまったことが、今も心のどこかにひっかかっている。音楽室から偶然聞こえてきたピアノの音色の主が気になる一方、サッカー部で活躍する海にひかれていくが、海にはすでに彼女が!? 対照的な性格の鈴子や兄的存在の研一郎という友人に囲まれつつ、琴子の中学生活、そして海との関係はどう進展するのか。青春時代の恋愛、友情関係、自己葛藤を瑞々しく描いた作品。

柊あおいprofile

1962年11月22日栃木県出身。1984年「りぼんオリジナル夏の号」掲載の『コバルト・ブルーのひとしずく』でデビュー。『星の瞳のシルエット』、『銀色のハーモニー』という長期連載を手がける。1986年に執筆した『耳をすませば』はスタジオジブリによりアニメ映画化された。身近な舞台設定と素朴な登場人物で描かれるやさしい世界観が魅力。

 

1990年はこんな時代でした!!
●事件、出来事……「国際花と緑の博覧会」開催。長崎市長が拳銃で撃たれ重傷。アルベルト・フジモリ氏がペルー大統領に。ゴルバチョフ書記長がノーベル平和賞受賞。
●話題……アニメ『ちびまる子ちゃん』放送開始。「ティラミス」ブーム起きる。『スーパーファミコン』発売開始。「オヤジギャル」が流行語に。
●ヒット曲……さよなら人類(たま)。浪漫飛行(米米CLUB)。今すぐKiss Me(リンドバーグ)。壊れかけのRadio(徳永英明)。恋とマシンガン(フリッパーズ・ギター)。

 

「りぼん」読者にとっては王道ともいえる恋愛物語が展開していく『銀色のハーモニー』。しかしこの作品で描かれていくのは、単なる等身大の恋愛ではなかった! さらにこの作品執筆中に作者の柊さんの身の上に起こった大事件とは!?

 

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琴子の心にずっとひっかかっていたピアノ教室の少年と、音楽室から聞こえるピアノの音。その音の主も海くんなのかと思いきや……。 「それだと『星の瞳の?』と同じになってしまうので、あえて変えてみました!」(柊さん)。でも、この展開に、琴子は海くんではなく奏一とくっつくのかと、ハラハラした読者もいたのでは!?

「琴子の性格上、奏一が何をしてもどうにもならない設定にはしていたんですが、奏一は本当に動かすのが大変なキャラで! あまり活躍させられないまま終わってしまいました(笑)」(柊さん)。

人間は恋愛だけでは生きていけないから
学校、友情のことも描いていく。

 自身の好きなものをすべてつめこんだ『耳をすませば』の連載が不調に終わったものの、柊さんは次なる連載をスタートさせる。これはかなりプレッシャーの大きいことだったに違いない。

 

 再び読者目線に立った作品づくりをするため、柊さんがしたのは原点に戻ることだった。この『銀色のハーモニー』という作品、実は「私が新人漫画賞を頂いた『トロイメライの風』という作品を温めなおしたものなんです。最初に描いたときには消化しきれなかった部分があったから、いつか描き直したいと思っていたもので」

 

『トロイメライの風』から引き継いだのは、主人公の相手役が“海(うみ)くん”という男の子ということと、『トロイメライ』がキーワードになっているということ。ヒロインの琴子(ことこ)のキャラクターはいちから考えた。
「香澄(かすみ)みたいなキャラクターは描いていて疲れてしまうので(笑)、普通の女の子にしようと。読者でも、そんなに得意なものはなくて、なんとなく過ごしている女の子が多いと思ったんですよね。そういう琴子みたいな子の目を通して、いろいろなことが描けたらいいなという気持ちがあったんです」

 

『銀色のハーモニー』だけでなく、『星の瞳のシルエット』や『耳をすませば』にしても、柊作品を見ていて思うのは、友情であったり、将来への悩みであったり、恋愛以外の要素が結構多めに描かれているということ。

 

「まっただ中である10代のころに読むと恋愛しか目がいかないでしょうけど、それ以外の要素があるかないかでは作品が全く違うものになると思っていました。やっぱり人間って、恋愛だけでは生きていけないでしょう? だから学校のことや友情のことを描きたかった。特に『銀色のハーモニー』では、琴子が空や夕日を見るシーンを入れるようにしていました。そっちにも心を開いている女の子にしたかったんですよね」

 

このまんがで描こうとした隠れテーマは
“大人同士の恋愛”だった。

 主人公世代の少年少女たちだけでなく、必ず魅力的な大人が登場するのも柊作品の特徴。『星の瞳のシルエット』では作品のコミカルな部分を担っていた久住(くずみ)くんのお父さん。『耳をすませば』では不思議な存在感のある『地球屋』の店主。

 そして『銀色のハーモニー』では琴子の叔父・晴(はる)おじさんと海くんの母。この2人には柊さんも並々ならぬ思い入れがあった。

 

「掲載誌が『りぼん』だから、どこまで明かしていけるかわからなかったんですが、晴おじさんと海くんのお母さんが昔つきあっていて、琴子と海くんは従兄弟同士という設定は最初から決めていたんです」

 

 ヒロインとヒーローが従兄弟!! 少女まんがでは決して珍しくない設定ではあるが、それまで比較的穏やかな流れで進んできたこのまんがの中では、かなり衝撃的な事実だった。

「大人同士の恋愛は、私がこの作品で描きたかった大きな要素のひとつなんです。『読者に受け入れられるもの』ということを考えて始めた作品ではあるけれど、ただの少女まんがにはしたくなかったので。若者だけでなく、広い年齢のことを描きたいと思ったんです」

 

 柊さん自身も「ストーリーの考えごたえも、描きごたえもあった」という晴おじさんと海くんのお母さんメインのストーリーがひと段落し、連載も残すところ数回というところで、あるアクシデントが柊さんを襲った!

 

「交通事故にあって、連載をお休みせざるを得なくなってしまったんです。読者の方には申し訳なかったんですけど、ほとんどクライマックスみたいなシーンで終わって、『この後どうやって最終回まで進めるか』という流れが真っ白な状態だったんですよ。そこをゆっくり考えられたのは、不幸中の幸いでしたね(笑)。もし、事故がなかったら、『銀色のハーモニー』の終盤は全く違うものになっていたと思います」

 

 このまんがのモチーフとなった『トロイメライの風』を投稿したとき、柊さんはすでに社会人になっていた。

「ずっと漫画家になりたいとは思っていたんですけど、なかなか芽が出なくて。社会人になって、『もうデビューはできないかもしれないけど、まんがが好きだからこれからも描いていこう』という決意で出したのが『トロイメライの風』だったんです。

 今になって思えば、学生時代や社会人生活、いろいろと経験してから漫画家になってよかったです。私が作品に『恋愛以外にも大切なことがある』という思いをこめてきたのは、自分が大人になってそう実感していたからですし。デビューは遅くなってしまいましたが、あれは必要な時間だったと思いますね」

 

少女まんがアーカイブ/s-woman.net/集英社

 たしかに大人っぽい漫画だったな…

ピアノっていうのがまたきれいな世界観を醸し出していて好きでした。