矢沢あい / 天使なんかじゃない 作者インタビュー&裏話です。
矢沢あい『天使なんかじゃない』
天使なんかじゃない 完全版全4巻 完結セット (愛蔵版コミックス)
- 作者: 矢沢あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/11/01
- メディア: コミック
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集英社文庫<コミック版>全6巻
愛蔵版コミックス完全版全4巻
りぼんマスコットコミックス全8巻翠と晃はもちろん、マミリンこと間宮裕子(まみやゆうこ)、タキガワマンこと滝川秀一(たきがわしゅういち)、ブンちゃんこと河野文太(こうのぶんた)……魅力的な脇役たちの恋愛にも泣かされる!! 彼らの友情にも胸が熱くなること必至!!
矢沢あいprofile
1967年3月7日生まれ。1985年「りぼん」より『あの夏』でデビュー。91年『天使なんかじゃない』が大ヒットを記録。その後も『ご近所物語』『下弦の月』等、名作を世に送り出す。現在も『クッキー』にて『NANA』をドラマティックに連載中。
1991年はこんな時代でした!!
●事件、出来事……東京23区の電話番号が10桁に。湾岸戦争。ロンドンサミット開催。ソ連崩壊。
●世相、話題……ジュリアナ東京オープン。宮沢りえがヘアヌードに。ダンス甲子園。
●ヒット曲……『ラブストーリーは突然に』(小田和正)『愛は勝つ』(KAN)『WON’T BE LONG』(バブルガム・ブラザーズ)
●流行語……「僕は死にましぇ?ん」「ダダーン・ボヨヨン・ボヨヨン」
連載開始から約18年たった今もファンを増やし続け、幅広い層の読者に読み続けられている『天ない』。少女まんがの歴史に残るこの名作が生まれた秘密とは!? そして、気になる制作秘話まで矢沢さんに語っていただきました!
3年間の思い出がつまった卒業式。翠は白紙の答辞を手に舞台にあがる……涙ナシでは読めないこの名場面は”今まで読んだまんがの中で一番感動した場面”として、女子高生が中心のファッション雑誌などで何度も取り上げられた!!
「今作では主人公を魅力的な女の子にしたい」って
強く意識した結果“明るく元気で前向き”な冴島翠が生まれたんです明るく元気で人気者の生徒会副会長・冴島翠(さえじまみどり)、そして、彼女が想いを寄せるリーゼントでぶっきらぼうだけど優しい生徒会長・須藤晃(すどうあきら)……できたてホヤホヤの高校・聖学園(ひじりがくえん)の個性豊かなメンバーが集まる生徒会を舞台に恋愛と友情を描いた『天ない』こと『天使なんかじゃない』。
この作品を読んだ女子ならば、一度は「私も聖学園に通ってあの生徒会に入りたい!!」と妄想したことがあるのではないだろうか? それくらい、魅力的なキャラクター達が繰り広げる、笑いアリ、涙アリ、感動アリのストーリーは多くの女の子のハートにリアルに響き、連載開始とともに大きな話題を呼んだ!!
「この作品はね、私にとっても勝負作的な存在というか、“ここで人気を取らなければ”っていう、大事な節目となる連載だったんですよ」
それだけに「どうしたらみんなに面白いと思える作品になるんだろう?」と考えに考えたという矢沢先さん。
「まず、主人公の女の子を読者のみんなから愛される子にしたいって思ったんです。
実はね、この『天ない』の連載を始める前に、一本読み切りのまんがを描いているんですけど。ある女性の編集さんにこんなことを言われたんですよ。“あの読み切り面白かったわ?。でも、あなたの作品って、男の子はスゴク魅力的なのに女の子は全く魅力がないのよね”って(笑)。その瞬間ハッとしたんですよ。そういえば、私の作品って、気付けばいつも主人公であるハズの女の子を押しのけ男の子が前に出てしまっていて。主人公であるハズの女の子がマドンナ的なポジションにいる! って(笑)。少女まんがなのにこれはマズイ、と(笑)。
そんな出来事もあって『天ない』では“魅力的な女の子を描きたい”って気持ちがスゴク強くあったんですよね」
なぜか“元ヤン”というイメージを
持たれがちな私ですが(笑)、中学時代は生徒会役員をやっていたんですよ。「実は、私も中学生の頃、生徒会役員をやっていたんですよ(笑)。これを言うと“キャラじゃない”とか“ヤンキーじゃなかったの!?”なんていう反応が返ってくるので、あまり言いたくないんですけど(笑)。中学時代は文化広報委員長というのをやっておりまして。その名の通り、文化祭を取り仕切ったり、新聞を作ったり……生徒会のなかでも文化面に関わる仕事をやっていたんですよ」
その頃の経験が『天ない』を描くうえで大きく役立った、という矢沢さん。
「私の学校も聖学園のような新設校ではなかったんだけど、まだ歴史の浅い学校で。生徒会もスゴク仲がよかったんですよね。だから、あの生徒会に集う感じとか、リアルな雰囲気が描けたのかなって」
そんなエピソードを聞くと「じゃあ、矢沢さんも『天ない』のように、友情に熱い友達に囲まれた学生時代を送っていたのでは?」と想像がふくらんでしまう!!
「『天ない』みたい、とは言えないと思うけど(笑)、男女が混ざった仲良しグループでよく遊んではいましたね。高校時代は学校の近くにたまり場があって、何をするでもなくそこに集まってはダラダラしたり。当時はしょぼいバンドもやっていたので、そこで練習したりね。
残念なことに、そのグループ内では『天ない』のようなラブハプニングはほとんどなかったんですよね(笑)。あったとしても、同じグループ内の男の子がまた違うグループに彼女がいて、その子が同じグループの女の子にヤキモチを焼くとか、そのくらい。たま?に、同じグループ内の女の子を好きになっちゃう男の子がいたりもしたんだけど。そういうときの私はもっぱら相談役で。よく“あいちゃん話があるんやけど”って男の子に呼び出されはするんだけど、その内容は“告白”じゃなくて“相談”みたいな(笑)。グループ内では常にアネゴ的なポジションだったんですよねぇ」
『NANA』の淳子(じゅんこ)や『マリブル』の理加(りか)……矢沢作品によく登場するアネゴキャラには、矢沢先生自身のそんな性格が投影されているのかもしれない!?
「それはわからないけど(笑)。学生時代の楽しかったあの時間は、私の作品の雰囲気につながっているかもしれないなとは思うかな」
連載が終わってから女子高生の間で急に話題に。
なんでそんな現象が起きたのか今でもナゾなんですよ。「『天ない』は、自分が書きたいものと求められるものとの間で悩み続けていた私が、初めて手ごたえを感じることができた作品でもあるんですよ。この作品を描いたことで、ずっと模索し続けて、煮詰まっていた状態からやっと抜けることができたというか」
自分では楽しみながら描いていたけれど、当時どれくらい人気があったのか、それは正直把握できていなかった、という矢沢さん。
「当時の『りぼん』といえば、『ときめきトゥナイト』を筆頭に『姫ちゃんのリボン』や『ハンサムな彼女』……強力な連載陣がそろっていたから。私としては、それが“一軍”ならその下の“二軍”的なポジションなんだろうってずっと思っていたんですよ。だから、後になって“実はアンケート結果でも1位になったことがあるんだよ”なんていうのを編集さんから聞いて“そうなの!?”ってスゴク驚いてしまって。連載中は、そんなことになってるなんて夢にも思っていなかったから。アンケート結果も確認していなかったんですよ(笑)」
『天ない』といえば、連載が完結してコミックス化した後にさらに人気を伸ばすという、珍しいヒットの仕方をした作品でもある。
「そうなんですよね。連載が終わったあたりから『りぼん』の読者層よりも少し上の世代の女の子達の間で急に話題になって。女子高生の読む雑誌で取り上げてもらったりして。今でもどうしてそういうことになったのか、不思議で仕方ないんですけど(笑)。
本来、一番ターゲットにしたいと思っていた高校生の女の子達が読んでくれているっていうのはスゴク嬉しい出来事だったんですけど。その反面“私の作品ってやっぱり子供向けじゃないんだ!”って、複雑な気持ちにもなったんですよね(笑)。“私の『りぼん』作家としての努力って……”と思ってしまったりして(笑)」
(取材・文/石井美輪)
まさにリアルタイムで読んでいた漫画!
このころのりぼんは大人っぽい話が多かったけど、小学生だった自分はそこにドキドキして、毎月楽しみで楽しみでたまりませんでした。
天使なんかじゃない 完全版全4巻 完結セット (愛蔵版コミックス)
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