漫画・本

【集英社・少女まんがアーカイブ】矢沢あい / マリンブルーの風に抱かれて 作者インタビュー&裏話

マリンブルーの風に抱かれて 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

マリンブルーの風に抱かれて 作者インタビュー&裏話です。

 

矢沢あい『マリンブルーの風に抱かれて』

 

 集英社文庫<コミック版>全3巻

りぼんマスコットコミックス全4巻

海辺に住む高校生達を描いた青春ラブストーリー。文庫3巻には3本の番外編を収録。そのうちの2本の主役が本来は脇役であるハズの一平。「主人公の亨より、一平を描いているほうが楽しかった」という矢沢先生の愛がそこにわかりやすく表れている(笑)。

 

矢沢あいprofile

1967年3月7日生まれ。1985年「りぼん」より『あの夏』でデビュー。91年『天使なんかじゃない』が大ヒットを記録。その後も『ご近所物語』『下弦の月』等、名作を世に送り出す。現在も『クッキー』にて『NANA』をドラマティックに連載中。

 

1989年はこんな時代でした!!
●事件、出来事……昭和天皇が崩御。昭和から平成に。消費税スタート(当時の税率は3%)。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で宮崎勤逮捕。天安門事件。ベルリンの壁崩壊。
●世相、話題……中森明菜が自殺未遂。テトリス。ノルウェイの森。ランバダブーム。『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』放送開始。
●ヒット曲……『Diamonds』(プリンセスプリンセス)『とんぼ』(長渕剛)『淋しい熱帯魚』(Wink)『大迷惑』(ユニコーン)
●流行語……「24時間タタカエマスカ」「セクシャル・ハラスメント」「オバタリアン」

20150129175226

“憧れの初恋の人”そして“いつもそばで支えてくれる大事な人”。その間でゆれ動く主人公・遙の恋心。なかなか上手くいかない恋愛が甘く切なく読者の心もゆり動かした!

 

遥をめぐり対立する亨と一平は、お互いのサーフィンの腕を認め合うことでよきライバルになっていく。しかし、自然相手の危険なスポーツであるサーフィンは、3人の間に大きな事件を呼ぶことに……!!

 

「矢沢、おまえ高校生を描け」
この一言で肩の力がフッと降りたんです。

 デビューからしばらく続いた“矢沢あい・冬の時代”。そこに“春”を呼ぶきっかけになった作品がこの『マリブル』だ。

 

 海辺に住む遥(はるか)と一平(いっぺい)は幼馴染。一平は密かに遥に想いをよせているのだが、そんな二人の前に、遥の初恋の相手である亨(とおる)が現れる。恋敵である一平と亨は、互いの趣味であるサーフィンの腕を競うが、それを通じて友情も二人の間に芽生え始める。そんな三角関係に、遥の親友である智世(ともよ)が亨を好きになってしまうという新たな想いもプラスされ、恋愛関係はより複雑に……。

 

 お互い惹かれあいながらも、なかなか結ばれない亨と遥の恋の行方から目が離せず、その恋愛模様に全国の女子が引き込まれた。この作品で注目すべきは、それまで“中学生以上は描いちゃいけない”と禁じられていたハズの矢沢さんが“高校生”を描いていることだろう!

 

「実はね、この連載の直前に担当編集が変わったんですよ。その新しい担当編集さんの第一声が“矢沢、おまえ高校生を描け”だったの(笑)。“おまえに中学生を描かせるって時点で無理があるんだ。描きたいように描けよ”って。それがスゴク嬉しかったんですよね。“高校生を描いていい”ってことじゃなくて“無理して描いているんだろう。無理しなくていいんだよ”って言ってくれたことが嬉しかったの。そこで初めて“私のことをわかってくれている人がいるんだ”って、肩の力がストンと落ちたというか。少し楽な気持ちでまんがと向き合えるようになったんですよね。

 

 だからといって『りぼん』のなかでどんな作家であるべきかという模索は相変わらず続いてはいたんですけど。多少、自分らしさみたいなものは残しつつ、小学生の女の子でも読める作品をっていうのを反抗的な気持ちじゃなく模索できるようになったんですよ。それまでは“ちきしょう!”的な気持ちで踏ん張っていたんだけど、もっと素直な気持ちで“頑張ろう”って思えるようになったというかね(笑)」

 

連載が終わる頃には“ペーパーサーファー”と呼ばれるくらい
サーフィンの知識が豊富になっていましたね(笑)。

『マリブル』といえば“サーフィン”や“海”という題材も印象的。特に、サーフィンについては「実際にやってなきゃわからないのでは?」と思うようなところまで描かれているのだが……。

 

「よくね“サーフィンやっていたんですか?”って聞かれるんですけど、実はやったことは一度もないんですよ。サーフィンどころか、そもそも、泳げませんからね、私(笑)。

 

 これは『マリブル』に限らず全ての作品にいえることなんですけど。私は自分が好きなものを題材に選んでまんがを描いているわけじゃないんですよ。サーフィンにしろ、今『NANA』で描いているパンクバンドにしろ“それが好きだから題材にしたんでしょ?”って思われがちなんですけど。そうじゃないんです。まず最初に“こういう人を描きたい”っていう人間ありきで構想がスタートして。“こういう人ならこんなものが好きだろうな”って発展していく。そのときに、初めてサーフィンやパンクバンドが出てくるというか。登場人物のために私が彼らの好きなものを用意する、という感覚に近いんですよね。

 

 なので、後になって“ヤバい、私、よく考えたらそれについて何も知らないや”って焦ることもよくあるんですよ(笑)。まさに『マリブル』もそう思った作品のひとつ。
 また、まんがって、たとえ数シーンしか出てこないようなものでも、そのことについてちゃんと詳しくないと描けないようなところがあるんですよね。だから、ゼロからスタートするときは本当に大変!! 連載中はサーフィン雑誌から、サーフィンの大会のVTRから……いろんな資料を集めて勉強しましたから。おかげで、最終的には担当編集から“ペーパーサーファー”って呼ばれるくらい知識豊富になりましたけどね(笑)」

 

また、今作にはこんなエピソードも!!

 

「『マリブル』を描くうえで苦労したのが亨ですね。小学生の女の子はきっと“こんな爽やかな王子様キャラが好きなハズ”と思って、主人公の亨を爽やか好青年にしてはみたものの……本当に描き辛くって。そもそも、私って爽やかな男の子が苦手なんですよ。『NANA』とか見ててもわかると思うんだけど、出てくるのは皆、暑苦しい男ばっかじゃないですか(笑)。描いているうちに、脇役のヤンチャな一平のほうにどんどん気持ちが傾いてしまって。何度も“いかん、いかん”と軌道修正はしたものの、結局、亨よりも一平のほうが魅力あるキャラになってしまっているんですよ(笑)。

 

 なので、この作品を期に“もう二度と、爽やか好青年を主人公にしない!!”と決意。“爽やかクンは脇役でしか描かない!!”って心に決めたんですよ(笑)。

 その反動が次の連載『天使なんかじゃない』に思い切り表れているんですよね。主役の男の子が“爽やかクン”からいきなり“リーゼント”に取って代わっているあたりにね(笑)」

 

(取材・文/石井美輪)

少女まんがアーカイブ/s-woman.net/集英社

 

勝手にだけど矢沢さんは紡木たくさんの影響受けてるのかな?って感じます。

これも映画とかドラマにぴったり…だけど、もしするなら90年代初頭ぐらいがよかったのかな~

 

 

 

 

関連記事