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【集英社・少女まんがアーカイブ】矢沢あい / ご近所物語 作者インタビュー&裏話

ご近所物語 (1) (りぼんマスコットコミックス)

矢沢あい / ご近所物語 作者インタビュー&裏話です。

 

矢沢あい『ご近所物語』 

ご近所物語 完全版 全4巻 完結セット (愛蔵版コミックス)

ご近所物語 完全版 全4巻 完結セット (愛蔵版コミックス)

 

 愛蔵版コミックス完全版全4巻

りぼんマスコットコミックス全7巻

隣の家に住む、幼馴染の実果子とツトム。お互いに大事な存在ではあるんだけど、恋か友情かそのラインは微妙!? そんなふたりが『ヤザガク』に通いながら、同じ志の仲間と過ごし、夢を追いながら関係を深めていく。引き込まれるストーリーだけでなくポップでキュートな世界観で多くの女の子を魅了した作品。

矢沢あいprofile

1967年3月7日生まれ。1985年「りぼん」より『あの夏』でデビュー。91年『天使なんかじゃない』が大ヒットを記録。その後も『ご近所物語』『下弦の月』等、名作を世に送り出す。現在も『クッキー』にて『NANA』をドラマティックに連載中。

 

1995年はこんな時代でした!!
●事件、出来事……阪神・淡路大震災。地下鉄サリン事件。
●世相、話題……アムラー。へそ出しルックやチビTが流行。コギャル。
●ヒット曲……『ズルい女』(シャ乱Q)『LOVE LOVE LOVE』(ドリームズ・カム・トゥルー)『TOMORROW』(岡本真夜)
●流行語……「だよね! ま、いっか」「ああいえば上祐」「ポアする」

 

『ヤザガク』こと『矢沢芸術学院』を舞台に、ファッション、写真、アート……夢に向かって突き進む学生達の恋と友情を描いた作品。ストーリーだけでなく、主人公の実果子の可愛いファッションにもときめいた。この作品を読んで、服飾専門学校への進学を志した女の子も多かった!!

 

実は、矢沢さん自身、服飾専門学校に通っていたことも。そのときの経験が、実果子が通う『ヤザガク』の服飾学科を描くのにとても役だったんだとか。ちなみに『天ない』『ご近所』と続けて登場している矢沢さんお気に入りの中川ケンですが、実はすでに『NANA』にも登場済み(笑)。興味のある人はぜひ探してみて(ヒント・歌番組)。

渋谷の東急ハンズで一瞬すれ違った男の子から
山口ツトムは生まれたんです。

 まず「こういう人を描きたい」という“人間ありき”で作品作りはスタート。登場人物が生まれた後は「原稿用紙の上で彼らが勝手に動きだす」という矢沢さん。

 

「まんがを描いているときは“私が考えてキャラクターを動かして描いている”のではなく“キャラクターが降りてくる”という感覚に近いんですよ。その感覚を一言で言うと“憑依”という言葉が一番しっくりくる感じ。なので、原稿を描いた後に“一体、これは自分のどこから出てきたものなんだろう?”って不思議な気持ちになることもよくあるんですよ

 

 その作品作りの出発点となる“こういう人が書きたい”という人物像は、期限に追われて苦しまぎれに現れることもあれば(笑)、こんな瞬間に生まれることも!!

 

「『ご近所物語』の山口ツトム(やまぐちつとむ)はね、渋谷の東急ハンズですれ違った男の子から生まれたキャラクターなんですよ。その子はすごくオシャレで可愛い男の子で。すれ違った瞬間に“うわ?、あの子可愛い!! 今度はあの子をまんがに登場させよう”って、バンッとイメージがふくらんだの」

 

 その運命の東急ハンズボーイは、まず『天ない』に中川ケン(なかがわけん)として登場。

 

「ケンは描いていてすごく楽しいキャラクターだったんですよ。それこそ『天ない』を描きながら、何度も“ケンが主役だったらよかったのに?!!”って思ってしまったほど(笑)。なので“じゃあ、いっそのこと次の連載の主役にしちゃおう”と(笑)。『ご近所』ではケンに似ている人、という設定で本当にツトムを主役にしてしまったんです」

 

“イラストにしたとき楽しく描ける女の子”
それが主人公の実果子だったんです。

 主人公の幸田実果子(こうだみかこ)にもこんな誕生秘話が!!

 

「『天ない』の連載中から、ふろくのイラストを描く機会がグンと増えまして。正直、それがスゴク大変だったんですよね(笑)。その経験から“せっかくイラストを描くなら楽しくやりたいな”と。“次の連載の主人公はイラストとしても楽しめる女の子にしよう”と決めていたんですよ。

 また、実は『りぼん』って、新連載を始めるとき、まず一番最初にふろくの依頼が来るんですよね。まだストーリーも決まっていない、予告カットも描いていない段階で“一点イラストを描いてくれ”と(笑)。『ご近所』も例にもれず、まずはふろくのイラストからスタートしたんですよ。そのときに“楽しくイラストにできる女の子にしたいと思っていたんだ”っていうことを思いだして。“じゃあ、ファッションを楽しく描けるオシャレな女の子にしよう”と。単純にビジュアル先行で描いた女の子から実果子は生まれたんですよ(笑)」

 

 そんな実果子を描いた後に「こういう奇抜なファッションをする女の子が普通の高校生っていうのは変だよな」→「きっと、こういうファッションをする女の子は芸術系の学校に通うハズ」→「じゃあ、舞台は服飾学科のある芸術学園にしよう」と、まんがのストーリーがふくらんでいったんだとか!!

 

「この“ツトム&実果子・誕生秘話”によく表れていると思うんですけど、『ご近所物語』はとにかく、原稿を描く作業をもっと楽しくしたいって思いが強かったんですよ。

 

 これは、よく公言していることなんですけど、私って、ネーム(ストーリーを考えながら描く原稿の下書き)が終わると、作品の90%が終わったような気持ちになってしまうんですよね。また、自分では、絵を描くのが得意じゃないから、作画には苦手意識があったりもするので、本番の原稿描きになかなか気分がのらない、という状況に陥りがちなんですよ。そんな原稿描きを少しでも楽しいものにしたいなと。自分のテンションがあがる画風を強く意識したというか。

 

 また、そのために『ご近所物語』では、使う画材も一新して、『天ない』とは全く違う画材で描いているんですよ」

 

(取材・文/石井美輪)

 

その②

 

『ご近所』には矢沢さんならではの遊び心が満載!! 読者としては、そこかしこに隠れた遊びを見つけるたびに楽しい気持ちになったもの。今回は、当時から気になっていた、あんなことからこんなことまで……遊び心の裏に隠されたエピソードを大公開☆

 

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これが本文中に出てくる“問題のひとコマ”!! 普通の高校生なら経験しているであろう“リアルな恋愛”が描かれた今作に読者はドキドキさせられた。

 

『りぼん』史上初!? キス以上の関係を
想像させるストーリー展開で編集部が大騒ぎに!?

「『ご近所物語』は、アンケートの人気投票の結果も意識したりせずに、自分が楽しく描くことを大事にしながら、本当に楽しく描いていた」

 

 そう笑う矢沢さん。“描きたいもの描く”その姿勢は、ある意味『りぼん』史上初ともいえる“ルール違反”を犯す結果につながることに……その“ルール違反”とは“キス以上の関係”を想像させるストーリー展開!!

 

「私的には、できるだけマイルドに描いたつもりなんですけど。当時はよく怒られてましたね?(笑)。一度、入稿の段階になって“『りぼん』的にこれはナシだから。ひとコマ真っ黒く塗りつぶしてくれ”って言われたこともあるんですよ」

 

 その事件は、ツトムと実果子が結ばれる回で起きた!! 『りぼん』的には衝撃的な内容だっただけに、ふたりが結ばれたそのシーンを“塗りつぶせ”と言われたのかと思いきや……“問題のひとコマ”とは意外にも、ふたりを心配してかけつけたご近所の徳ちゃん(とくちゃん)が見つけた“コンドームの空き袋”を描いたコマだった!?

 

「もともと、リアルな袋を描いていたわけでなく、なんとなくソレを彷彿させるような袋を描いていただけなんだけど。編集長から“塗りつぶせ”と言われてしまったんですよね。そこで、私は“それはないだろう! 人の作品を何だと思っているんだ!”とブチ切れてしまいまして(笑)。“じゃあ、自分で対策を考えるから、今すぐに原稿を戻してくれ!”と、大いそぎで原稿を印刷所から引き揚げて。そのひとコマにモザイクをかけ“少女まんがではお見せできません”とギャグに描き変えて印刷所に戻したんですよ」

 

 当時は「それが悔しくて悔しくて……泣きながらモザイクをかけた」という矢沢さん。

 

「それまでは“自分は『りぼん』では二軍作家であり異色な作家だ”という思いが強くて。“そんな私だから好き勝手やっていいだろう”とどこかで思っていたんですよね。でも、そのときにはもう、まわりを考えなくちゃいけない立場になっていたみたいで(笑)。あとになって、それに気付いたときにようやく“しまった!!”と(笑)。“あれは申し訳なかったなぁ”と反省したんですよ」

 

連載が終わっても、
登場人物は私の中でずっと生き続けているんです。

『ご近所物語』といえば、最終回を終えた後に描かれた“復活編”に、大人になった主要キャストの子供達が登場。その子供達が『パラダイスキス』の主人公になるという、今までにない展開を見せた作品でもある。

 

「これは『ご近所物語』だけでなく、他の作品にも共通することなんだけど、連載レベルで描いてきたキャラって、連載が終わった後も私の中で生き続けているんですよ。

 

『ご近所物語』では、ツトムと実果子たちが開いているフリマのお店に『天ない』の翠と晃が訪れたり……私の作品って、他の作品の登場人物が違う作品にチラッと姿を見せることがよくあるんですけど。それも、私の中でずっと生き続けているキャラが“ここなら私も出てもいいかな”と遊びにきているような感覚なんですよね。

 

 キャラだけでなく『ご近所物語』で実果子達が通う『ヤザガク』こと『矢澤芸術学院』も、創立年数を重ねながら、ずっと私の中に存在しているんですよ。なので、『パラダイスキス』を服飾学校に通う生徒達のストーリーにしようと決めたときも、“服飾学校といえば、新しい学校を創立しなくても、すでに『ヤザガク』があるだろう”と。そして“『ヤザガク』を舞台にするなら『ご近所物語』のあの子供達の出番だろう”と、自然な流れで内容がかたまっていった。

 

『ご近所物語』と『パラキス』がつながっているのは、何か計算したりして作り上げたものでは決してなく、そうやって私の中で生き続けていたものが、再度、表舞台に出てきただけの話なんです」

 

(取材・文/石井美輪)

少女まんがアーカイブ/s-woman.net/集英社

少女まんがアーカイブ/s-woman.net/集英社

天ないの次の連載なのに、絵の描き方が全然違っていて子供心におどろいた気が。

物語も、現実を見ないといけなくなる寸前のユラユラした感情が登場人物にたくさん現れています。登場人物多かった気がするけどみんな覚えてるな。バディ子とかなにげに好きだった。

矢沢さんはケバめの女の子書くのがうまい!

 

ご近所物語 完全版 全4巻 完結セット (愛蔵版コミックス)

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ご近所物語 全5巻セット (集英社文庫―コミック版)

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「ご近所物語」イラスト集―Welcome to the Gokinjo wo (集英社ガールズコミックス)

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ご近所物語 コミックセット (りぼんマスコットコミックス) [マーケットプレイスセット]

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