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【集英社・少女まんがアーカイブ】椎名あゆみ / あなたとスキャンダル 作者インタビュー&裏話

あなたとスキャンダル 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

椎名あゆみ / あなたとスキャンダル 作者インタビュー&裏話です。

無敵のヴィーナスが好きだった…

 

椎名あゆみ『あなたとスキャンダル』 

集英社文庫<コミック版>全3巻

バンドの楽しさにのめりこみ、メジャーデビューを目指すようになっていく友香達の前に次々とあらわれる困難!! ラブあり、友情あり、家族愛あり……笑いと涙の連続にグイグイ引き込まれること必至。今でも色あせない椎名ワールドを体感できる作品。

椎名あゆみprofile

8月29日生まれ。物心ついたころから『りぼん』を愛読。『ときめきトゥナイト』等に夢中になり、小学生の頃から友達と遊びでまんがを描き始める。そして87年『涙のメッセージ』で「りぼん」よりデビュー。代表作に『無敵のヴィーナス』『あなたとスキャンダル』『ベイビィ★LOVE』『ペンギン☆ブラザーズ』等がある。

 

1993年はこんな時代でした!!
●事件、出来事……皇太子が小和田雅子さんと結婚。ビル・クリントン米国大統領就任。ゼネコン汚職事件。Jリーグ開幕。アナウンサーの逸見政孝氏が死去。
●ヒット曲……森田童子『ぼくたちの失敗』、工藤静香『慟哭』、THE虎舞龍『ロード』、class『夏の日の1993』
●話題……ドラマ『高校教師』や『ひとつ屋根の下』『あすなろ白書』が人気に。ナタデココがブームに。アニメ『クレヨンしんちゃん』がヒット。ジュリアナ現象。

 

バンド活動、そして、メンバー内の恋愛をテーマに描き人気を呼んだラブコメディ!! 濃いキャラクターたちの掛け合いとともにテンポよく進むストーリー展開が魅力の“椎名ワールド”に全国の女子が引きこまれた!!

友香が恋した美少年はナント女だった!? ここで、友香の恋は終わると思いきや……「女でもいいから好き!」とその勢いは継続(笑)。そのいい意味での裏切りもまた“椎名ワールド”!! 予測のつかない展開の数々に夢中になった!!

本当のバンドみたいに、バレンタインデーには
キャラクターあてにチョコレートが届いたんですよ(笑)。

 主人公の高崎友香(たかさきともか)は女子高に通う女の子。男子に免疫がない彼女が初めて恋をした相手は、毎週木曜日に電車の中で出会う美少年・芹香(せりか)。ある日、ひょんなことから、その美少年が隣の男子校のバンドのヴォーカルを担当していることが発覚。しかも、友香もそのバンドにキーボードとして参加することに!! 恋の成就に淡い期待を抱く友香だったが、その美少年にはある秘密が隠されていた……!?

 

『あなたとスキャンダル』は椎名さんならではの、キャラの濃い登場人物の軽快な掛け合い、テンポのよいストーリー展開で、人気を呼んだラブコメディ!! なかでも、連載開始から、「あっ!!」という驚きを届け、読者を作品に引き込んだのが“実は芹香は女だった”という意外な事実。

 

「確か、連載が始まってから二回目で、その種明かしをしたと思うんですけど。周りからの反響は大きかったですね。“なんで女なんですか!?”、“男ならカッコイイのに。もったいない!!”なんて声が集まったりして(笑)」

 

 この作品は「もともと“中性的な女の子に憧れる女の子”という図を描きたい、という思いからスタートしたんですよ」という椎名さん。椎名作品といえば、他にも『ベイビィ★LOVE』のように“中学生と小学生”という年の差恋愛を描いたり……常に、読者を「あっ!!」と驚かせる面白い設定が用意されているのが魅力。

 

「最初の設定を凝ったものにしておくと、いろんな事件を起こしやすいし、ストーリーの展開が広がっていくんですよ。特に、私はキャラクター先行で作品の世界が広がっていくタイプなので。みんな、ちょっと変わった性格になってしまうんですよね。この作品の登場人物たちも、キャラが面白いというか、みんな濃いじゃないですか(笑)」

 

 男みたいな芹香、彼女が女だと知りつつ自分の恋を貫きとおす友香、そんな友香に恋する新(あらた)、そして、女好きのタケちゃんに、音楽オタクの保(たもつ)……そんなバンドメンバーをはじめ、脇役陣までも濃いキャラが勢揃い(笑)。ひとりひとりのキャラが立ち、また魅力的であったため、読者からはこんな珍しい反応があったんだとか。

 

「『あなスキャ』は、本当に登場人物ひとりひとりに人気があって。ファンの方からは、お気に入りの登場人物を主役にした同人誌が送られてきたり、バレンタインデーには登場人物あてにチョコレートが届いたりしたんですよ。まあ、そのチョコレートはキャラではなく、私の胃の中におさまったんですけど(笑)。今振り返ると、あれは不思議な現象でしたねぇ」

 

楽しいまんがを描くためには
描き手がちゃんと楽しまなければいけないんですよね。

「楽しい作品を書くときに大切にしていることは、自分自身が楽しみながら描くこと。描き手のそういう温度って、読者の皆さんにも伝わるものだと思うんです」

 この『あなスキャ』も「テンションをあげながら描いた」という椎名さん。そのテンションをあげてくれたのが“ライブ”だったんだとか。

 

「この頃は、あらゆるバンドのライブを観に行ってましたね。当時、人気のあったバンドのライブはひととおり観ましたね。そのときのテンションや感動がこの作品には反映されているんじゃないかな」

 

 今、改めてこの作品を読んで感じることをたずねてみると「とにかく“若かったなぁ”の一言ですよね(笑)」という答えが返ってきた。

 

「この頃は、作品を描くペースだったり、自分の制作スタイルがまだ確立されていなくて、いっつもバタバタ状態だったんですよ。私は地方に住んでいるので、普通郵便じゃ間に合わないときは航空便で原稿を送るんですけど。原稿を抱えて息切らしながら空港内を走ったり、ヒドイときは空港で原稿を描きあげたりしてましたからね(笑)。そんな思い出が走馬灯のように思い出される作品ですね(笑)」

(取材・文/石井美輪)

 

少女まんがアーカイブ/s-woman.net/集英社

 椎名さんの描く男の子は、当時の小中学生の好きなものをつめこんだ感じがして好きだったな…でも無敵のヴィーナスのが好きw

 

 

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