神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、当時14歳だった加害男性が著者名を「元少年A」として手記「絶歌」を出版しました。
遺族の方からは発売停止を求める声があがっていますが、個人的には興味があります。
1997年6月28日。
僕は、僕ではなくなった。
酒鬼薔薇聖斗を名乗った少年Aが18年の時を経て、自分の過去と対峙し、切り結び著した、生命の手記。「少年A」――それが、僕の代名詞となった。
僕はもはや血の通ったひとりの人間ではなく、無機質な「記号」になった。
それは多くの人にとって「少年犯罪」を表す記号であり、自分たちとは別世界に棲む、人間的な感情のカケラもない、
不気味で、おどろおどろしい「モンスター」を表す記号だった。
手記は294ページ。
2004年に医療少年院を仮退院後、家族と離れて溶接工や日雇いアルバイトをしていたとし、被害者の家族に宛てて「どれほど大切なかけがえのない存在を、皆様から奪ってしまったのかを、思い知るようになりました」などと書いています。
次男(当時11歳)を亡くした土師はせ守さん(59)は手記出版について「なぜ私たちを苦しめるようなことをするのか理解できない」などとするコメントを出した。土師さんは以前から加害男性側に手記などを出版しないよう求めていたという。
男性側から事前の連絡はなかったといい、「先月、彼の手紙を読み、彼なりに分析した結果をつづってもらえ、これ以上はもういいのではないかと考えていたが、手記出版は私たちの思いを踏みにじるものでした」としている。
以下、コメント全文。
加害男性が手記を出すということは、本日の報道で知りました。
彼に大事な子どもの命を奪われた遺族としては、以前から、彼がメディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました。なぜ、このようにさらに私たちを苦しめることをしようとするのか、全く理解できません。
先月、送られてきた彼からの手紙を読んで、彼なりに分析した結果をつづってもらえたことで、私たちとしては、これ以上はもういいのではないかと考えていました。
しかし、今回の手記出版は、そのような私たちの思いを踏みにじるものでした。結局、文字だけの謝罪であり、遺族に対して悪いことをしたという気持ちがないことが、今回の件でよく理解できました。
もし、少しでも遺族に対して悪いことをしたという気持ちがあるのなら、今すぐに、出版を中止し、本を回収してほしいと思っています。
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